4月から限度額の記載が必要となる身元保証書

従業員が会社に何らかの損害を与えたときには、従業員は会社にその損害を賠償する責任を負う旨の規定を就業規則に設けていることは多いでしょう。さらに、この規定とあわせ従業員が入社するとき等に、従業員の家族等を保証人とする身元保証書の提出を求めることがあります。今回、民法が改正されたことに伴い、この身元保証に関し限度額を定める必要があります。その内容を確認しておきましょう。

 

労働基準法における損害賠償の規定

労働基準法に、賠償の予定を禁止する規定があります。これは、雇用契約期間の途中で退職したときに違約金を払わせる定めをしたり、会社に損害を与えたときに○○円を払わせるといった定めをしたりすることを禁じたものです。禁じた目的は、これらの定めをすることによって、従業員の退職の自由を不当に奪うことがないようにするためです。

そのため、あらかじめ違約金や賠償額の金額を決めずに、現実に従業員の責任により発生した損害について、賠償を請求すること自体を定めることは、問題ありません。

 

 

民法の「保証」に関する改正

このように労働基準法では、従業員に対する賠償の予定は禁止していますが、保証人に対して賠償を求めることや、その賠償額について定めることを禁止する規定はありません。ただし、民法等に保証人に関する規定があり、これに従う必要があります。

今回、その民法が改正されました。具体的には、保証人が支払いの責任を負う金額の上限となる極度額(上限額)の記載がない場合、 契約自体が無効となります。これは、保証人が、保証人となる時点でどれだけの債務(賠償額)が発生するかが明確になっていないことで、実際に保証すべき損害が生じたときに、想定外の債務を負うことになるケースがあるからです。

そこで、保証人が想定外の債務を負うことを避けるために、「○○円」等と明瞭にその極度額を定めることが求められることになりました。

 

 

民法改正に伴い必要な対応

入社するとき等に提出を求める身元保証書には、保証人に対する賠償について、次のような具体的な賠償額を定めていない文言となっているケースが多いと考えられます。

 

従業員が会社に損害を与えたときで、従業員が賠償できないときは、保証人が連帯して賠償する責任を負う。

 

このような身元保証書については、2020年4月1日以降の締結では、具体的な金額の記載が求められます。ご注意ください。

 

 

今回の身元保証に関する改正は、2020年4月1日の施行です。2020年3月31日までに締結された身元保証書は、改正前の民法が適用となるため、既に提出済みの書面をすぐに締結し直す必要はありません。身元保証書の提出は、法律で義務付けられたものではないため、この改正を機に、身元保証書の提出の必要性から検討してもよいかもしれません。

 

 

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