相続法改正 3 遺言制度・遺留分制度

平成30年3月13日に国会に提出された民法の改正法律案※に基づいて、改正が予定されている項目を解説しています。最終回の今回は、

これにより、遺言書が見つからない、遺産分割後に遺言書が見つかった、等のトラブルも回避できるようになります。

遺言制度と遺留分制度を中心に、要点をご紹介します。

Contents

自筆証書遺言にまつわる改正

様式の緩和

財産目録

現⾏法 改正案
全て自筆 自筆は要しない

自筆証書遺言に添付する財産目録は、相続 時の無用な紛争を防止するための重要な文書 ですが、個々の財産が確実に特定できるよう、地番や地積、金融機関や口座番号等を正確に 記載しなければなりません。財産を多く所有 する遺言者にとっては労を要する作業です。

今回の改正案により、登記事項証明書や預金通帳の写しもしくはパソコンで作成した一覧等を用いて、各ページに署名・押印することで、自筆証書遺言に添付する財産目録として取り扱うことができるようになります。

保管制度の創設

自筆証書遺言(無封のものに限る)の保管を法務局に申請できるようになります。

これを保管制度といい、この制度を利用すると、遺言者は法務局に、遺言書の返還や閲覧を請求できます。また、相続人や遺言執行者は、遺言者の死後、法務局に閲覧を申請できます。家庭裁判所での検認の手続きは不要です。

これにより、遺言書が見つからない、遺産分割後に遺言書が見つかった、等のトラブルも回避できるようになります。

遺留分にまつわる改正

遺留分の金銭債権化

遺留分減殺請求

現⾏法 改正案
現物での返還が原則 ⾦銭⽀払いの請求が可

遺留分減殺請求に対し、現行法では遺留分権利者に金銭での弁償の選択権はありません。改正案は、遺留分権利者に遺留分侵害額相当の金銭支払いを請求する権利を認めています。

遺留分の算定方法の見直し

遺留分額に算⼊する相続人に対する贈与

現⾏法 改正案
全ての期間が対象

10年間に限定

 

現行法では、相続人に対する特別受益に該当する贈与には時間的な制限が設けられておらず、何十年も前に行われたものも、遺留分額の算定の際に算入されます。

改正案は、相続開始前10年間の贈与に限り原則算入との制限を設け、それ以前に行われた財産は算入しないこととしています。

他にも「相続人以外の者への貢献を考慮した特別寄与料の請求」等の改正項目があります。詳しくは、法律案でご確認ください。

 

※改正法律案

以下の法務省サイトでご確認ください。

「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_0021299999.html

 

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